ICT48誕生ものがたり(沖縄編)

プロローグ

2016年4月29日13時5分、香川県高松市にあるサンポート高松のホール棟4階第1小ホールで「ピュアの極み乙女、」のプレゼンが始まった。G7 情報通信大臣会合に併設されたG7 ICTマルチステークホルダー会議内で企画された特別イベントでのプレゼンである。『ICT分野における「女性の起業家精神」の育成プロジェクト発表会』と名付けられた特別イベントはわずか15分間で終了したが、「ピュアの極み乙女、」はこの15分間のために71日間に及ぶ周到な準備を行った。

はじまり

2月16,17日に開催されたビジネスコンテスト「ICTビジネスモデル発見&発表会」で、「ピュアの極み乙女、」が『しゅうがくりょーこん』で総務大臣賞(キャンパス大賞)を受賞した。

このビジネスコンテストはBS-TBSで番組化されることになっており、総務大臣賞を受賞した本校に対して取材があるというのである。今回のビジネスモデルをつくるにあたって、JTB沖縄に大変お世話になっており、そのお礼のための訪問をするつもりだったのだが、その様子を取材したいという。そこで、私はJTB沖縄にアポを取るためのメールを出した。受賞した翌日、2月18日朝6時である。まだ、東京にいた。

全てはこの時から始まった。

プレゼン本番まで残り71日

突然の要請

テレビ取材の日はその後の調整で3月2日に決まった。

取材日も決まり、学年末の成績処理をしていた2月23日電話があった。テレコムサービス協会からだった。「ICTビジネスモデル発見&発表会」の主催団体である。

電話の内容をピュアにLINEで伝えたのがこれ。

4月29,30日に伊勢志摩サミットに先立ち高松で「情報通信大臣会合」が開催されます。その中でICT女子を立ち上げると言うことで、しゅうがくりょーこん(+がいこくじんりょーこん)を各国の情報通信大臣の前でプレゼンして欲しいと言うことです。それからICT48の設立メンバー宣言して欲しいそうです。

外国では修学旅行が無いので、プレゼンの内容を外国人旅行者向けのビジネスモデルに変えて欲しいと言われたが、さすがに全体を作り替えるのは無理。ということで、外国人旅行客を対象にした「がいこくじんりょーこん」の概要を2分追加することで、テレコムサービス協会から了解を得た。これで、3月2日のTV取材でJTB沖縄に訪問したとき、外国人旅行客の現状や課題のヒアリングをすることにし、それを元にビジネスモデルを検討することにし、それに併行する形でじゅり氏が外国人旅行の調査開始した。

プレゼン本番まで残り66日

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TV取材

3月2日10時におもろまち駅で集合、その後JTB沖縄 沖縄支社でBS-TBSの2人のTVクルーと合流した。JTB沖縄ではこれまで貴重なアドバイスを頂いたKさんを訪問し、コンテストの結果の報告とお礼をし、「がいこくじんりょーこん」へのアドバイスを頂いた。貴重な時間を頂き、感謝しかない。

午後は学校に移動し、ピュアの活動の様子の撮影とインタビューがあった。TV取材は17頃終了。ピュアたちは「がいこくじんりょーこん」のビジネスモデル構築のため午後いっぱい真剣に議論していた。この時の議論が「がいこくじんりょーこん」の骨格となる。

プレゼン本番まで残り58日

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プレゼン作成

要求仕様

沖縄高専では春休みと夏休みの終わりに2週間程度、部活合宿を行っている。今年の春合宿は3月21日から31日までの11日間である。ICT委員会では合宿期間中、ビジネスアイデア出し大会、プログラミング勉強会、競技プログラミング勉強会、デザイン勉強会と盛りだくさんの内容で、丸一日部活ができるとは言え、毎日結構忙しい。

この時までにG7での発表に関してテレコムサービス協会(というよりその背後にいる総務省)から下記の要求があった。

  • プレゼン時間は10分
  • チーム名は変えなくて良い(私はチーム名がちょっとアレなので変えたいと提案した)
  • 最後の「お寿司たべた~い」を高松名物に変えて欲しい(うどんしかないでしょ!)
  • プレゼン資料の英語版を作って欲しい
  • プレゼン台本が欲しい

プレゼン完成までの計画を立てた。

  1. 「がいこくじんりょーこん」の検討
  2. プレゼン資料の日本語版の作成(ICTビジネスモデル発見&発表会のプレゼンにの最後に2分程度、「がいこくじんりょーこん」を追加する)
  3. プレゼン台本修正
  4. この段階で発表練習しプレゼン時間を計測。10分になるようプレゼン資料と台本を修正
  5. プレゼン資料の英訳
  6. 英語版プレゼン資料の完成度をあげて完成させる
  7. ひたすら練習あるのみ

プレゼン本番まで残り39日


「がいこくじんりょーこん」の検討

ピュアの3人は合宿中、毎日2~3時間、ICT委員会の合宿スケジュールから抜け、G7のための作業を行った。最初にしなければ行けないのは「がいこくじんりょーこん」のビジネスモデルの検討である。そのため、3人で手分けをして外国人観光客の現状や課題を調査し、それとJTB沖縄のKさんからのアドバイスを元に議論を行った。アイデアがほぼまとまったのが3月23日。この日にプレゼン資料の最初のバージョンが作られた。

プレゼン本番まで残り37日

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日本語版プレゼン資料作成とプレゼン台本づくり

3月23日にプレゼン資料の最初のバージョンを作ってから、プレゼン資料の完成度をだんだん高める作業が始まった。

2月のコンテストから次のような変更をした。

  • 「がいこくじんりょーこん」を加えて10分のプレゼンにするためスライドを4枚削除
  • 冒頭のビデオの背景を首里城から栗林公園に変更(りんちゃん先輩に依頼)
  • プレゼン中のアプリ動画に使用するアプリの英語化(ホワイトハッカーズに依頼)
  • 「がいこくじんりょーこん」のスライドを6枚追加
  • 東京オリンピックの成功に貢献する宣言のスライドを1枚追加
  • 最後のページの「お寿司食べたい」から「うどん食べたい」に変更
  • プレゼン時間が20秒オーバーするのでプレゼン台本のいろいろな所を少しずつ削除し、20秒短縮

ここまでの変更を完成させるためプレゼン資料は27バージョン、プレゼン台本は12バージョン作られた。ここで、ひととおり完成したので、テレコムサービス協会に送付した。4月1日のことである。

プレゼン本番まで残り28日

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プレゼン資料の英訳

プレゼン資料の英訳作業はまなうぇいが中心になって行った。まず、まなうぇいがプレゼン資料全体をによる英訳作業した。3月27日から始め4月2日までにひととおり完了。その後、高校で英語教諭をしておいる私の妻に添削を依頼。さらに、高専の英語教員のY先生に添削をお願いした。

この過程で、私も見過ごしていた大問題が発覚。英語版プレゼン資料の英語フォントの事を考えていなかった。さらに、アプリ名が「ShugakuRyocon」になるため、ロゴデザインのやり直しが必要だった。フォントについてはじゅり氏がフォント探しの長い旅に出てくれて6種類のフォントを探して解決。アプリロゴもじゅり氏ががんばってくれた。

英語版がほぼ完成し、日本語版最終バージョンとともに、テレコムサービス協会(と、その向こうにいる総務省)に送付したのが4月12日。日本語版は4月1日に提出してから更に修正したのでバージョンは27から30あがり、英語版の提出バージョンは47であった。

プレゼン本番まで残り17日

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発表練習

プレゼン資料と台本が完成して、ピュアたちの発表練習が始まった。時間を見つけては放課後、教室で練習をしていた。これまではプレゼン資料が日本語だったので、多少忘れてもスライドを見るとすぐに思い出すことができるが、スライドが英語に変わっているため、忘れた時にとっさに思い出せないところが苦労していたようだ。

プレゼンの内容もじゅり氏とまなうぇいのパートは追加された部分がなく、「がいこくじんりょーこん」のために削っただけなのでそれほど大きな問題は無かったのだが、プレゼンの中でるいこのパートが2分増えた。しかもプレゼンの終盤で東京オリンピックへ貢献をする宣言のスライドがあり、英語で言うことになっている。

We will make a contribution to success of the Tokyo 2020 Olympic and Paralympic Games!

練習中、るいこが一番苦労していた。3人が集まれるときはなんどもなんども練習していた。練習の終盤の4月23日と26日には視聴覚ホールを使い、本番に近い環境での練習を行い完成度を高めていった。しかし、ミス無く全体を通せることがほとんど無い状態だった。

練習終盤の4月26日に「ピュアの極み乙女、」は日刊工業新聞の取材を受けた。起業家甲子園での「しょこらむーす」を取材に来たのだが、G7で発表するということで追加で取材して貰ったものだ。

プレゼン本番まで残り3日

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日刊工業新聞 2016年4月28日

突然の連絡

4月25日にテレコムサービス協会からメールがあった。

1.MCから簡単なチームの紹介とナビゲータの紹介

2.ナビゲータからプレゼン内容のご紹介とプレゼン者を呼んでもらう

3.プレゼン

4.ICT48の授賞式とICT女子の宣伝

5.終了

を考えています。 2のナビと4の授賞式対応をお願いできませんか?

なんと私に登壇要請があった。まさに寝耳に水である。しかも連絡はこれだけで詳細は分からない。2と4の台本が届いたのが4月27日16:13。送られてきた台本はこのままでは表現が堅い。2の部分を急遽、じゅり氏に書き直して貰った。書き直した台本をテレコムサービス協会に送り返したのは18:55だった。そして、4のためにスライド3枚追加するよう、じゅり氏にお願いした。プレゼン資料はバージョン61になっていた。これが最終バージョンになった。

残る2の部分だがここは私一人の部分なので、帰宅する車の中でつくりあげ、車の中で何度も練習し、翌日の早朝に台本化した。

プレゼン本番まで残り2日。明日は高松に出発。

ICT女子募集 台本

正「じゅりまなえるいー!、先生が応募しといたICT48に入ることが決まったぞー!!」

ま「は?なにそれ」

る「そんなの聞いてない~!」

正「ICT48は全国でICTを使って活躍する女性に、もっと活躍の場をつくるICT女子プロジェクトのサポートをする人たちのことだよ」

ピュア「へえ…」

ま「あの、ICT女子プロジェクトってなんですか?」

正「ICT女子プロジェクトは、女性と企業や団体を繋げるプロジェクトのことだよ。このプロジェクトで女性の存在感を高めることによって、女性ならではの新しいビジネスモデルやサービスを創り出していくんだって」

じ「なるほど!地方や日本を元気にできそう!」

る「もしかして、それで儲かったお金でおすしとうどんが食べれるのでは…?」

ピュア「おすしーうどんー!!」

正「まあまあ落ち着いて」

正「ICT48合格通知と一緒にICT女子フォーラム開催のお知らせがきてたんだけど、このとき懇談会があるみたいなので先生が「うどんとおすし出してください」って言っておくよ」

ピュア「やったーすしとうどんー!」

*ここから授与式

正「そうそう、ICT48認定書届いたから渡すね」

*賞状お渡しー

正「(賞状読む)」

*パネルも渡してポーズ

じ「ヤッター!これからICT48として頑張っていこうね!」

じ「ということで、私たちも女性の活躍の場が増えるように頑張っていきます! 会場にいらっしゃる方、お知り合い、ICT女子、ICT48になってみたいなあと思ってるあなた!ぜひ応募してください!」

じ「他にもICT女子を応援するパートナーズも募集しています!そしてみなさんでうどんとおすしを食べましょう」

*なにかポーズ


ICT48誕生ものがたり(高松編)に続く