デスマらなければ楽しくないよ☆(仮)
2週間ほど前から「書きたい」気持ちが高まってきたので、今日の出張の帰りに飛行機の中で1時間ほど書きなぐってみました。
書いてみて分かったこと。
- ストーリ展開を全然考えていない
- 主人公「菜摘子」のキャラが定まっていない
- 描写力がない。特に主人公のモノローグと心理描写が書き分けられない
- 文体が定まらない
ちょっと勉強の余地ありですね。
出直します...
「きゃはうけるー☆」
菜摘子の大きな声が部室中に響いた。ノートPCをのぞき込んでいる1年生がこわごわと顔を上げ、なにも見なかったかのように、ノートPCに顔を落とす。
「先輩、また電気止められちゃったんですか。2度目・・・ん?3度目ですよね」
「菜摘子に頼まれた開発やってたけど、いきなり電気とめられちゃって、そのうち充電切れちゃうし・・・」
「だから、ソースがGitに上げられてなかったんですね。きっと先輩のことだから、開発しないで2次元キャラばっかみてたんじゃないかなあって」
「そんなことない。ちゃんと菜摘子に頼まれた開発やってたけど、電気止まっちゃったから、もう終わりだと思って、ノートの残ったバッテリでこんなアプリつくってみたんだ。ほら、見て、菜摘子。なでこかわいいボタンっていうんだ。このボタンを押すと『なでこかわいい』ってツイートが自動的に送信されるアプリだ。ほら・・・ツイートされたでしょ」
「先輩!あと1ヶ月でプロコンなんですっ!遊んでないでちゃんとアルゴリズム実装してくれなきゃ困ります!」
「うう・・・3次元は害悪!」
菜摘子は琉球高専の3年生。ICT研究会の部長をしている。プロコンを1ヶ月後に控えここ最近気が立っている。変人が多いと言われる高専の中でもICT研究会はとびきり変なのが集まっている。
電気代を払わず電気を止められても全くこりない、くま。4年生。
プログラミングをする部活なのにいつもジャグリングをしているゴヤ。3年生。
マニアックな技術にのめり込むにゃお。目下、ショートコーディングに夢中。3年生。
ブレッドボードに電子部品をのっけていつも楽しそうな、まるさ。さっきも抵抗から煙を出していた。3年生。
数学が得意でアルゴリズムの勉強に余念が無い、まさよし。定期試験の半数の科目で100点をとっている。2年生。
こんなやつらをまとめ上げないとプロコンに出品するシステムが完成しない。
彼らの他は、入部したばかりの1年生である。1年生にはプログラミングの基礎の実習をさせている。今は10人ぐらいいる1年生だが半年後に2人残っていたらいいほうだ。
「菜摘子の声はいつも大きいなあ。廊下まで聞こえてたよ」
M教授がのっそりと部室に入ってきた。
「きょうじゅっ!こいつら何とかしてくださいよ。全然開発が進まないんです」
「そうそう菜摘子。忘れてたんだけど、プロコン事務局に提出しなきゃいけない書類があってね。至急書いてくれるかなあ」
「あ、いいですけど、いつまでですか?」
「それが・・・あの・・・悪いんだけど、今日の5時まで・・・」
「えっ、今4時じゃないですか。あと1時間・・・。この書類いったいいつ教授のところに来たんですか?」
「えっ・・・1ヶ月ほど前・・・」
「教授!急いで書いて、メールで送りますから研究室で待っていてください」
「いつも悪いね菜摘子」
「ほんっとに教授も含めてどいつもこいつも使えないヤツばっかり」
菜摘子はぶつぶついいながら、キーボードを猛烈な勢いでタイプし始めた。
(続く)
沖縄高専がIT系コンテストで強くなった本当の理由
沖縄高専ICT委員会は今年、IT系コンテスト総ナメといったら少し大げさ過ぎるかもしれないが、それに近い成績を残した。
具体的には下記の通りである。
- 高専プロコン
- 競技部門:1回戦2位通過、準々決勝敗退
- 課題部門:優秀賞受賞
- 自由部門:特別賞受賞、エグジットチューンズ特別賞受賞
- パソコン甲子園
- プログラミング部門:予選通過、本戦出場 (2チーム)
- モバイル部門:予選通過、本戦出場、グランプリ受賞
- EPOCH@まつやま
- 予選:本戦出場(2チーム)
- 本選:優秀賞(2位)
- TI-RA ビジネスプランコンテスト
- グランプリ受賞
- 第5回沖縄学生ビジネスアイディアコンテスト
- 審査員特別賞
- ニフティ秋のアプリ発表会
- 「アイデア賞」「使ってみたい賞」
※3つの賞のうち2つの賞を独占
参加するコンテストの全てで何らかの受賞をした。
これだけの成果を出すと沖縄高専が全国の高専からマークされるのは当然である。私もいくつかの高専のプロコンを指導する先生からプロコンの取り組みについていろいろ質問されたし、委員長のなっちゃんにも直接的、間接的にICT委員会の活動内容について聞かれたようである。
沖縄高専の今年の強さは次のような要因であると分析できる。
- 部活動としての継続性をもった組織的な取り組み
- なっちゃんを中心とする団結力の強さ
- 専攻科2年生のぴんくのカリスマ性、リーダーシップ、プレゼン力の影響
- なっちゃんの独裁による開発体制や方針の決定
- 沖縄高専四天王、くま、まるさ、gy、にゃおの開発パワー
- 開発チームを上級生だけで固めず1、2年生を入れて経験を積ませるチーム編成
- ICT委員会は勉強会からスタートしたことに起因する先輩が後輩を教えるDNA
- デスマをつらくてやりたくないというより、楽しいことでまたやりたいと思う意識の高さ
これらの要因に学生のがんばりが今年の成果に繋がっている。なっちゃんをはじめとする沖縄高専ICT委員会の学生はどんなに褒めても褒めすぎることはないことは断言できる。
しかし、実はもう一つの大きな要因があることを指摘したい。私、M教授は6年前に今日の成果を出すための戦略をたてたのである。去年、プロコン特別賞を受賞し、その前兆が現れたのだが、今年やっと花開いた。それは、沖縄高専メディア工学科が採用した新しい入試方法に始まる。
沖縄高専は9年前に作られた新しい学校である。開校当初から入試倍率も比較的高く優秀な学生が入学してきたが、総じて優等生タイプでとんがった特徴が薄く面白みにかけていた。そこで、情報工学に強い適性をもっている中学生を優先的に入学させるために、メディア情報工学科は独自の入試『専門実習入試』を導入した。
専門実習入試は受験生に実習形式の授業を行い、実習内容に関するテストを実施して合格者を選抜する入試である。実習の内容は中学生にとって初めて触れるものなので、新しいことに対する理解力やセンスを問うのが特徴である。中学での成績については一定水準を満たしていることを確認する程度で、オール5だからといって合格しやすいとはがぎらない。あくまで、実習での成績を重視する入試を実施し、毎年6,7人の専門実習入試で入学してくる。
思惑通り、専門実習入試でとんがっているヤツが入学してきた。専門実習入試で入学した学生は当然のようにICT委員会に入ってくる。その結果、今のICT委員会の主要メンバーは専門実習入試で入学した学生が占めている。
専門実習入試を実施してから今年で5年が経過し、今年になってやっと本科全学年に専門実習入試で入学した学生が揃った。
5年前に入試制度を変えて、IT系コンテストで全国の高専と戦える体制を作ってきた結果が今年の沖縄高専ICT委員会の成果として結実した。これが、
である。
100点とれますか?
この記事は Kosen Advent Calender By Teachers の12月13日の記事です。
Kosen Advent Calender By Teachers 参加を機にブログを始めました。
この記事がブログの実質的な最初の記事になります。
前回は長野高専の伊藤先生でした。私も福山雅治になりたい(いろんな意味で)と思いました。
まずは自己紹介から。今日12月13日を担当する正木は沖縄高専メディア情報工学科の教員です。Twitterでは@m_kyoujyuのアカウントでしょうもないつぶやきをして学生から煽られています。
沖縄高専は9年前に開校した全国でもっとも新しい高専です。私は1期生が入学する2日前に沖縄高専に赴任してきました。沖縄高専に来る前は某家電メーカーの研究所で組込OSを中心に14年間研究開発してきたソフトウェアエンジニアです。縁あって沖縄高専の教員になりました。授業は1年次のプログラミングI、2年次のプログラミングⅡ、4年次のOSとコンパイラを主に担当しています。
プログラミングという科目は学生の能力差や好き嫌いの度合いが大きく分かれる科目です。そのため苦手な学生が嫌いにならないように工夫しながら授業をしています。テストでは平均点が80点になるようさじ加減しながら問題を作ります。そうすると、赤点が1~2人ぐらいのちょうどいい感じになるんですね。でも、平均80点ぐらいのテストをすると得意な学生がドヤ顔で100点をとる。問題を作る方からするとこれはとても悔しい。負けた感じになります。
そんなとき学生から物理の先生が100点阻止問題を出しているということを偶然耳にしました。
『これだ!』
早速作ってみました。
100点阻止問題を作り始めてしばらくはこういった少し応用をきかせた問題を出題していました。 あるとき、問題をつくる時間がとれたことと沖縄高専が継続して出場するようになったパソコン甲子園の問題にインスパイアされてストーリー仕立ての問題をつくってみました。A4で4ページの大作です。
M教授のキャラクタはこのとき誕生しました。M教授が作りかけて出来ないプログラムを学生に作らせるとストーリ展開はその後の100点阻止問題の定番のパターンです。この問題のようにM教授は自虐的で少し残念なキャラに描いている問題が多いのですが、それではあまりにもアレなので沖縄を実際に襲った台風をモチーフにシリアスな展開をかっこよく振る舞うキャラとして作ってみたのが次の問題です。
M教授の謎めいた行動がなんとなくデキる教員を演出しています。
100点阻止問題はこのような現実世界を舞台にしたものだけではなく、その時々に学生の間ではやっているもののパロディをして作ったものもあります。映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を観た直後に作った問題がこれです。
この問題を作って発見したのは面白く長い問題文を書くと読むのに時間がかかったり、笑ってしまってテストに集中出来なくなることで100点を阻止できるということです。これだ!と思って調子にのってこんな問題を作ってみました。
この問題は最後の部分の予告の部分を書くためだけにDVDを借りてきたり、世界観を調べたりと結構苦労しました。しかし、その甲斐あって試験中にあちこちで笑い声がしていました。
アニメネタが高専生に効果があるのが分かったので、これを作ってみました。
この問題はアニメを見ながらセリフをいったん書き下ろしてそれを変更する形で作りました。この問題を手にアニメをみるとその苦労がわかってもらえるはずです。
また、時事ネタも問題の素材にしてみました。
M教授のキャラの描写が一部混乱していてよく分からなくなっていますが、AKB総選挙をビデオにとったり、大島優子のスピーチを書き下ろしたりして地味に苦労した問題です。内輪ネタがかなり入っているので沖縄高専関係以外の人が読んでもよく分からないところがあると思いますが、学生にはそれなりにウケたので自分ではそれなりに満足しています。
いろいろと試行錯誤しながら問題を作ってきたのですが、ストーリーがちょっとマンネリ化してきたので現実の学生をキャラとして登場させてみました。それぞれのキャラがキャラ立ちするようストーリーをミステリータッチにしてみました。
前作のエンディングに余韻を持たせてしまったので、1年後に続編を思わず作ってしまいました。連作は初めてです。
この問題を作って後で気がついたのですが、通常の小説では「誰が発したセリフか」を書きますが、これは「誰にあてて発したセリフか」が表現されています。これはTwitter小説の新境地を切り開いたのではないか。この手法いける!と密かに盛り上がっています。
今回はこれまで作った100点阻止問題を9問紹介しましたが、2007年に作り始めてからこれまで25問作っています。全てを紹介するのは大変なので、今回はこのくらいにします。
ここまで読んでいる人は気がついていますよね。そうですよ!その通りですよ!完全に目的と手段をはき違えていますよ!自己満ですよ!テスト時間中には半分の学生も読んでないことは知っていますよ!逆ギレですよ!でも、これくらいの遊び心くらいあったっていいんじゃないかと!
という感じで、沖縄高専メディア情報工学科の学生は試験のたびに私の自己満につきあわされているかわいそうな学生たちです。同情してあげてください。
ところで、この記事を読んでいる情報系の高専生諸君。私のテストで
次は鈴鹿高専の白井先生にバトンタッチです。